企画提案力による入札を
官公需の価格競争からの脱却
長年、印刷業界の課題として、業界団体を中心に取り組まれている官公需の入札問題。電子入札が導入され、全国どこからでも入札ができるようになると、地場産業、地域の企業として街づくりや、地域活性化を積極的に進める印刷業界にとって、受注減と価格競争に弾みをかけることになる。以前から地方自治体の印刷物を主要業務にしてきた印刷会社は多いが、緊縮財政のあおりを受けて、地方自治体でも印刷物の発注やコスト削減に力を入れ始めている。
官公需の公正な入札を実現するため、業界団体は最低制限価格制度の導入を各地方自治体に訴えかけている。その成果も出始めているが、新たな問題も浮上している。最低制限価格が実価格になっており、結果として一部の地方では、毎年、その価格が下がっているという。官公需に重点を置いた経営から脱却する印刷会社も多いが、地産地消の想いも強い。そのような流れから、地方自治体では地元に本社を構える企業のみに入札の権限を与えているが、価格競争の激化も続いている。
このようなやり取りが続くため、印刷会社では疲労感を拭えない。そこで注目されているのがプロポーザル方式という入札制度だ。
プロポーザル方式は、競争入札とは違い、受託希望者から発注内容の目的に合致した企画を提案してもらい、その中から企画・提案力のある者を選ぶ方式。
東京都印刷産業政治連盟は、東京都印刷産業議員連盟と、東京都の印刷発注に対し、プロポーザル方式の導入を働きかけている。
印刷物は本来、そのものが目的物であることが少ない。印刷物に必要とされるのは、伝えたい情報をいかに効果的に効率良く発信するかである。企画提案力が必要とされる印刷発注に対し、プロポーザル方式の導入が進むことが期待される。