小松左京の作品を直筆原稿で公開
「日本沈没」の創作メモ、「大震災95」の生原稿など
株式会社イオ・小松左京事務所と株式会社寿限無は、今年発刊40周年を迎える小松左京の代表作「日本沈没」の直筆原稿1,196枚や、1995年の阪神淡路大震災のリポート「大震災95」の生原稿などをデジタルデータ化し、5月から公開する。第1弾は、秋田県立図書館が採用した電子書籍・デジタルアーカイブプラットフォームAMLADから電子書籍として公開。なお秋田県立図書館は、すでに電子書籍の貸し出し実績もあるということで公開先として選定されている。
資料のデジタル化については、小松左京氏が亡くなる以前から検討されてきたもの。公開される内容には、日本沈没のメカニズムを図解して検討しているものや本編には含まれなかった幻の草稿などもあるため小松左京ファンには興味あるコンテンツとなる。
特に小松左京の「日本沈没」は、映画化もされた同氏の代表作の一つで、発売当時で上下巻あわせて400万部のベストセラーを記録した。その内容から、東日本大震災の後には、災害時における描写などを関連づけて考える人もいるほど衝撃的な作品として知られている。特に今回のデジタル化は、創作メモや執筆に際しての様々なアイデアなどに触れることができるものとして、研究者の新たな資料として注目される。また作家として創作を目指す人にとっては大きな刺激素材コンテンツとなることも期待されている。
小松左京氏の家柄は、父方の祖父が江戸時代に大地震大津波の被災にあい、また母は関東大震災を体験しているなど、災害に備える家風にあったという。また自身も太平洋戦争の経験者であり、「日本沈没」という作品は、危機的状況の中で人がどのようにあるべきかといったメッセージであり、苦境をいかに乗り越えるかという知恵が盛り込まれた作品であることがわかる。