米大学にクロスメディアイノベーションセンター

産学協同でビジネスを研究

米国ニューヨーク州のロチェスター工科大学(RIT)は昨年9月、メディアサイエンス学部内に「クロスメディアイノベーションセンター」を開設した。日本印刷産業連合会が3月21日、日本印刷会館で開いた「海外出張報告会」の中で、日印産連企画推進部の石橋邦夫氏がその目的と活動内容を報告した。
1829年に設立したロチェスター工科大学は9つのカレッジで構成されている。このうちのCollegeof Imaging Arts and Sciences内にメディアサイエンス学部がある。クロスメディアイノベーションセンターは、業界と学生・教育者に協業する場を提供するとともに、印刷、ウェブ、モバイル、ソーシャルチャンネル等のクロスメディアコミュニケーションの課題と可能性の提示を目的に設立された。
活動内容は、クロスメディアに関わる関係者を集め、年4回の会合を開き、重要なビジネス上の課題と可能性を討議。また、新規分野の大学と企業による協同研究のほか、クロスメディア製品やアプリケーションを開発する。とくにRITはインターンシップを重視しており、例えば情報学部や工学部で卒業前に1~1.5年の実務経験が求められる。
同センターでも「RIT Co-ops」のプログラムに参加した協力企業はRITの学生を短期的なプロジェクトにインターンとして参画させることができ、将来的な採用につなげることもできる。
報告した石橋氏は訪問した同センターや米国PIA、デジタル印刷のイベントPODiAppフォーラムを通じ、「アメリカの印刷業界はソリューションビジネスの方向に業態変革しようとしていると感じた」と述べている。日本でもクロスメディアビジネスが、印刷業界の今後の鍵と見られており、同センターの活動と成果は注目される。

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