書籍・雑誌の販売額、前年比3.6%の減少
雑誌は15年連続マイナス
書籍・雑誌の市場縮小が止まらない。出版科学研究所によると、2012年の取次を経由した書籍・雑誌の推定販売額は1兆8,000円を割り、前年比3.6%減の1兆7,398億円となった。3年後に1兆4,000円まで落ち込むことが予想されており、出版印刷を取り巻く環境は一層の厳しさを増す。
出版市場(取次ぎ経由の書籍・雑誌)の推定販売額は1997年をピークに減少傾向にある。2009年に21年ぶりに2兆円を割り込み、2012年は昭和61年の水準。内訳は、書籍が2.3%減の8,013億円、雑誌が4.7%減の9,385億円で、書籍が6年連続、雑誌が15年連続の前年割れとなる。
出版市場の不振は様々な要因が指摘されている。まず、書籍については長引く国内景気の低迷により、ブックオフ等の古書店に需要が流れたこと。図書館利用も増加し、図書館数はこの3年間で109館増加。貸出冊数は5.0 %増となっている。読書離れよりも節約志向が逆風となっている。一方、雑誌はパソコン、インターネットの普及により、消費者の情報収集の手法が大きく変わったことが挙げられる。近年のスマートフォンなどの携帯端末の普及がこれに拍車をかけた。付録雑誌も頭打ちとなり、情報誌全般が冬の時代を迎えている。
英国放送協会BBCによると、2012年、英国書店業界の紙の書籍売上高は前年比4.6%減少した。昨年、日本でもキンドル、楽天、ブックライブ(凸版印刷)が相次いで低価格の電子書籍端末を発表。マイクロソフトやアップル、サムソンも小型のタブレットPCを発売するなど、今後、電子書籍・雑誌の市場拡大が予測される。調査会社のインプレスでは電子書籍市場が2016年度に2,000億円まで成長すると予測。出版市場の勢力図は塗り替えられつつある。