2013年度に543億9,000万円の市場に
2018年度まで年平均11.1%成長見込む
矢野経済研究所がこのほど発表した「印刷通販市場に関する調査結果2013」によると、2013年度の印刷通販市場規模は543億9,000万円(同11.1%増)を見込んでいる。また、2012年度から2018年度までの印刷通販市場の平均成長率については、11.1%と予測する。2012年度の印刷通販市場規模は489億7,200万円(前年度比19.7%増、事業者売上高ベース)と、引き続き成長している。
印刷通販市場は、2007年度に100億円を超える規模になり、その後、2008年のリーマンショックによる景気減退が印刷通販の低価格戦略を後押しして、2009年度に印刷通販市場がさらに飛躍した。
2007年度以降の市場では先行企業の成功に促され、参入事業者数が増加。同調査によると特に2009年度以降、市場では市場規模が拡大し続けているものの、価格競争が激化し、販売価格が下がり続け、成長率が鈍化しているという。
新規顧客の拡大スピードも鈍化している。その理由として、リピーターの増加と先行投資を繰り返し行うことで市場拡大を牽引してきた売上上位の事業者における自己資本比率の水準低下を挙げる。
生産設備がフル稼働している現状で、一部の企業を除く売上上位の事業者は新規顧客の獲得方法として「口コミ」をメインチャネルとしており、メディアへの露出を以前よりも減らすことで受注量をセーブしている。今後こうした事業者では、高コストとなる生産設備への投資を控え、内部留保の拡充に努めることで経営の安定化を図っていくと考えられ、市場の拡大スピードにも影響すると見ている。
しかし、潜在需要は未だに大きく、強みである「低価格」の威力を鑑みると、今後も小ロット印刷需要の開拓が進むとみている。
「2013年版 印刷通販市場の展望と戦略」A4・205頁、定価10万5,000円(税込)