印刷用紙再値上げへ

日本製紙が10月21日から

日本製紙は、9月9日、印刷・情報用紙の価格修正を代理店各社に表明した。10月21日出荷分から実施される。
日本製紙の印刷用紙の値上げは今年に入り2度目。3月5日に発表した4月21日出荷分は1㎏あたり15円以上。上質紙、上質コート紙、軽量コート紙、微塗工紙が対象だった。8月21日出荷分から封筒などに使われる色上質紙の値上げを含めると3度目の表明となる。
今回の値上げは印刷用紙、情報用紙の全品種と加工原紙。値上げ幅は10%以上となる。
日本製紙によると値上げ理由は、①為替の円安傾向が続く中で、各種原燃料価格は上昇基調にある、②原価改善努力を積み重ねてきているが、コストアップを自助努力だけで克服することが難しい。
今年に入り、製紙各社は足並みを揃えて印刷用紙の値上げに踏み切った。背景にあるのが為替変動による原燃料価格の上昇だが、輸入紙価格が上がり、出荷量が激減する中、値上げのチャンスと判断したとも推測される。
印刷会社にとって、資材の安定供給は経営の大前提。多品種小ロット化傾向の中、在庫はできるだけ持ちたくない。需要に応じ、必要な時に必要な量の資材を調達することが、現在の市場環境では不可欠となっている。用紙の安定供給のために値上げは必要かもしれないが、約半年で2度にわたる値上げは需要家無視と受け取られかねない。
電子メディアの普及で、印刷需要が落ち込む中、用紙の値上げは紙の需要をさらに落としかねない。クライアントの電子メディアへの移行を加速させる恐れがあるためだ。しかし、製紙会社には輸入紙価格を上回るまでの値上げが実行できないジレンマがある。2000年代に印刷業界が輸入紙という選択肢を持った意味はここでも効いてきた。

イベント情報&業界ニューストップへ