非課税海外事業者にも公平な消費税を
主要出版社らが税調に要望書
「海外事業者に公平な課税適用を求める対策会議」は、政府の税制調査会に、海外事業者によるコンテンツ販売に対する消費税について、公平な課税適用を求める要望書を提出した。同対策会議は、主要出版社、印刷会社などが加盟する公益財団法人文字・活字文化推進機構や日本出版協会、日本雑誌協会、日本電子書籍出版協会、電子出版・制作流通協議会などで構成される。
インターネットビジネスが普及する中で、国境を越えた経済活動に対する課税問題が急浮上している。中でも昨年から急速に売上げを伸ばしている電子書籍では、海外事業者に消費税が課税されないことから、すでに価格差が生じている。コンテンツ販売は、ネットで簡単に価格を比較できることから、消費者の反応も敏感で、国内の電子書店から「公平な競争の阻害」を指摘する声が高まっている。
同対策会議は、この問題が電子書籍だけでなく、全てのデジタルコンテンツ販売に波及していると指摘。2014年以降、消費税が8%さらには10%と引き上げられれば、「価格競争力の差」は歴然となり、その差を国内ネット事業者が埋めるのは至難である。このため、今後、国内企業がネットビジネスの優位性を確保するためには、国外へのサーバー移転や、事業主体を海外に置くことになりかねず、事業法人税のあり方にも問題が波及することになりかねない。
課税方法をめぐっては、商品の流通過程で仕入先の発行するインボイス(送り状・納品書)制度が有効と指摘されている。一方財務省内で海外からの電子コンテンツ配信への課税に関する研究会が発足しているが、結論は出ていない。同会議では2014年4月の消費税引上げ時に、新制度導入は間に合わないとなれば、国内ネット事業者の衰退が懸念されるとして早期の制度制定を求めている。