“ごみゼロ”へ世界は動き始めている

海洋プラスチックごみ問題から始まった社会の変化

 海洋汚染の原因として急速に問題視されるようになっているプラスチックごみ問題は、これからの産業のあり方を変えようとしている。プラスチックは便利な素材である反面、資源枯渇や破棄方法とそれに伴う海洋汚染問題などから、急速に注目を集める素材となった。
 プラスチックごみ問題は、あらゆる業界に影響を及ぼすことが考えられている。「プラスチックごみ」「プラスチックごみリサイクル」という用語が開示用の資料に含まれている企業の割合について業界別に調べた調査では、最も多い(83%)清涼飲料だけでなく、総合化学、基礎化粧品、金属・ガラス容器、包装紙、農産物、コングロマリット、事務サービス・用品、特殊化学品、ヘルスケア用品、紙製品、包装食品・肉まで、様々な業種にわたっている。
 ごみ問題への意識は、世界中で起きている異常気象なども影響している。世界的にも人口が増加している現在、豊かな自然環境を維持することの重要性が改めて見直されており、不法に廃棄されてきたプラスチックごみの問題は、人類が抱える課題の象徴ともいえる存在となっている。
 昨年6月には主要7カ国・地域(G7)首脳会議で「海洋プラスチック憲章」が採択された。そこでは、2030年までにプラスチック包装の55%以上をリユース・リサイクルし、2040年までに全てのプラスチックを有効利用する数値目標が盛り込まれた。日本でも環境省が、「プラスチック資源循環戦略(案)」を取りまとめ、2030年までに容器包装など使い捨てのプラスチックを25%削減することなどを掲げている。
 こうしたプラスチックごみ問題への対策は、“使い捨て”社会から脱却し、“ごみゼロ”社会を目指すものである。それに向けた企業の有り方を求める声も増えていくと思われる。

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