景気は「悪化する」が2年連続増で37.2%

「回復する」は6.8%、人材不足が深刻化

 2019年の日本経済は、設備投資や公共事業、オリンピック準備及びラグビーワールドカップ関連の特需、消費増税前の駆け込みなど好材料があった。一方、相次ぐ自然災害、不透明化する世界経済の動向、人手不足の深刻化や消費増税の影響など懸念材料もあった。
 2020年の景気見通しに関して、帝国データバンクでは企業の意識調査を行っている。それによると、景気が「回復」すると見込む企業は6.8%、「踊り場」局面になるとした企業は32.8%、「悪化」局面を見込む企業は37.2%となり2年連続の増加という結果だった。これは、過去3番目に高い水準であり、1年前より厳しい見方を強めている様子が浮き彫りとなった。
 「悪化」局面を見込む企業を業界別でみると、トップは『小売』の40.7%、次いで多い『不動産』も4割台(40.1%)である。
 「回復」という回答には、「五輪イヤーと言われているので訪日観光客の消費需要が見込める事を期待」「災害復旧工事という特需で、売り上げは伸びると予想」という声がある。しかし、「悪化」を予測している企業の意見からも「東京五輪関連の投資が終わり、観光もピークを迎え、悪化局面に入る」「復興特需の反動で低迷期に入ると思われる」など、要因は同じでもプラスとマイナスのいずれにも作用することが予測されている。こうしたことからも業種や地域によって景況感の格差が現れることを伺わせた。
 2020年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料で最も高かったのが「人手不足」の46.2%。次いで「中国経済」34.8%、「原油・素材価格(上昇)」24.9%、「米国経済」22.8%、「消費税制」22.1%、米中貿易摩擦などの「貿易摩擦の激化」21.8%。人材不足は深刻で、2017年の調査から3年連続して5割近くの企業が悪材料と捉えており、「人手不足の解消」が急務であるとしている。

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