脱プラスチックへの動きで製紙業界も新分野へ

プラスチックの代替え市場へ紙製品の製造・開発進む

 2018年のトピックの一つに、“脱プラスチック問題”がある。2018年に入り、プラスチックごみによる海洋汚染問題(マイクロプラスチック問題)への関心が世界規模で急速に高まってきたことを背景に、プラスチックからの代替品の一つとして、『紙ストロー』のように、紙製品に注目が集まるようになってきた。実際、紙器需要を底上げする可能性もあるとみられており、紙器の加工事業者のもとに、紙化を検討しているユーザーから相談が多く寄せられているという。
 現状の紙素材に関しては、バリア性や耐水性などの機能性が他の包装材に比べて弱いことなどもあり、製紙メーカーにおいては紙素材の開発が進められている段階でもある。加えて過剰仕様になっている用途の見直しと併せ、加工業者とともに一次包装としての需要の開拓も考えられるようになった。
 しかし世界的な“脱プラスチック”への流れは強くあり、代替素材の開発などを視野に入れる必要がある。そのため、製紙メーカーを中心にプラスチックに替わる製品への取組みが積極的に進められていることは、新たな動きとして注目できる。
 例えば日本製紙においては紙パッケージ製品用原紙の製造力を増強し、グローバル市場への供給を目指すことを表明。加えて包装材料シフトの動きを受け手、プラスチック製トレイの代替えとなる堆肥可能(コンポスタブル)な紙器用原紙などの新製品開発にも積極的に取り組んでいくとしている。
 王子製紙では、プラ製ストローの廃止及び、紙製または生分解性プラ製ストローへの意向を発表している。特に生分解性のプラスチックの開発と更なる機能を備えた紙製品の開発を進めていくとしており、樹脂ペレット、バリア性を有する再生循環型の包装材料の開発、紙コップ蓋(トラベラーリッド)などが登場している。

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