シェアリングエコノミー市場約5,250億円

見えない経済を浮き彫りに

 内閣府経済社会総合研究所はこのほどシェアリングエコノミー市場規模を試算し、全体の生産額規模が約4,700億円から5,250億円程度と見込んだ。
 シェアリングエコノミーは、複数の人と物やサービス、場所などを共有・交換して利用する経済の仕組み。カーシェアリングや民泊など個人の資産の賃貸を促すサービスが代表的で、消費者の価値観の変化や節約指向などで市場が拡大している。印刷業でもIT化の進展により、一つの大量業務を複数の印刷会社で分散して印刷する手法が注目されている。また印刷工場の遊休設備の有効活用をうたう印刷ネット通販が登場している。
 同研究所がまとめた「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究」報告書によると、GDPの7割を占めるサービス産業に関しては、情報通信関連技術の発展や経済のサービス化などその環境変化が著しいと指摘。近年、シェアリングエコノミーや広告料収入のみで運営するインターネット上の無償サービス等、新たな経済活動が急速に普及・拡大しつつあり、このような業態を経済統計で把握する重要性を訴えている。
 シェアリングエコノミーが従来の非市場活動がマネタイズされる一方、GDPでは活動の一部(仲介企業による仲介手数料)しか捉えられない。また、既存の労働統計では個人・世帯の労働時間を捕捉できず、労働生産性の測定にも影響する。
 報告書では中古品販売やC to Cの金融取引等が約2,700億円~2,750億円、C to Cの実物取引等が約950億円~1,350億円、仲介手数料や持ち家帰属家賃(民泊分)等が約1,000億円~1,200億円と3つの領域で生産額を試算。各種経済統計における捕捉の取り組みを進めていくことが必要と指摘している。

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