2019年から年賀葉書62円に

値上げでさらなる需要減も

 日本郵便は年賀葉書の料金を改定する。
日本郵便は2017年6月に通常葉書の料金を52円から62円に引き上げた一方、2018年用年賀葉書については、年賀取扱期間(2017年12月15日から2018年1月7日まで)に差し出されたものに限り、52円に据え置いていた。2019年用年賀葉書からはこれを62円に統一する。
2018年用年賀葉書の総発行枚数は、29億6,526万6,000枚で、2017年の31億4,207万7,000枚から5.6%のマイナスとなった。年賀葉書の発行枚数は2003年までほぼ毎年、右肩上がりで上昇を続けていた。44億枚を発行した2003年以降、減少を続け、ついにピーク時の7割程度に落ち込んだ。
年賀葉書の発行枚数が30億枚の大台を割り込んだ理由の一つに2000年初頭から普及し始めた携帯端末のコミュニケーションがある。SNSで年賀の挨拶を済ます若年層が拡大し、ブラザー工業の調査によると年賀状を送る年代は20代が51.5%と最も低い。一方、60代が85.0%と最も高い。日本郵便は2018年から1月2日の年賀葉書の配達を中止。臨時配達員の人件費向上が大きな理由だが、年賀葉書の販売数の減少も起因していると見られる。
年賀葉書の印刷は、年賀葉書印刷業者にとって年末需要のウェートが大きかったものの、近年は印刷ネット通販やスマートフォンからの印刷受注など、印刷の形態が変化。流通形態は百貨店からコンビニエンスストア、郵便局窓口と多様化し、業界内でも年賀葉書印刷をめぐる景色は変わった。
年賀葉書の印刷は印刷業界にとって年末の需要を支えてきたが、構造的な需要減少に加えて、年賀葉書が値上げになれば、2019年はさらなる落ち込みが予想される。年賀状は人間関係をつなぐツールとしての役割を果たしてきたが、今やSNSがそれに変わろうとしている。

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