事業承継の課題解決へ優遇措置

第二創業のベンチャー型に期待

超高齢化社会の到来は、中小企業の経営でも課題となっている。中小企業庁によると、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳になるにも関わらず、6割が後継者未定であり、70代の経営者でも、事業承継に向けた準備を行っている経営者が半数にとどまるという。また、経営者の高齢化が進むと、企業の業績が停滞する可能性が高くなると指摘する。
こうした現状を踏まえ、中小企業庁は今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間と定め、支援のあり方についてまとめた「事業承継5ヶ年計画」を策定。国も事業承継に向けた動きを後押しすべく、近親者への事業承継の税制を改定し、より負担の少ない形で事業を次世代に託せるようにする。
税制改正では、今後5年以内に承継計画を提出し、10年以内に実際に承継するという条件を満たす場合、①納税猶予対象の株式上限を撤廃し、全株式が適用可能になり、納税猶予割合も100%に拡大、②親族以外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象となる、③5年間で平均8割以上の雇用要件を未達成の場合でも、猶予の継続が可能になる。
事業承継が課題となっているのは、必ずしも税制や取引先、金融機関との問題だけではない。現在の事業の将来性なども見据えて、後継者に託すのが不安という考え方も根強い。
そのため、従来型の事業承継の方法だけでなく、「若手後継者が、家業が持つ、有形無形の経営資源を最大限に活用し、リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業、業態転換、新市場開拓など、新たな領域に挑戦し続けることで永続的経営をめざし、社会に新たな価値を生み出す」、いわゆるベンチャー型事業承継と呼ばれる新しい承継の形に注目が集まっている。

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