第3のプラットフォームの普及でビジネスモデル転換

企業内の最適な出力環境を維持・運用する「MPS」

IT専門調査会社IDC Japanは、国内マネージドプリントサービス(MPS)市場の2016年ベンダー競合分析結果を発表している。それによると、2016年の国内MPS市場の売上額は604億4,000万円で、前年比9.9%の増加だった。
MPSとは、企業のオフィス出力環境の現状を分析して最適な出力環境を構築し、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービス。MPS導入により出力環境に関するTCO(Total Cost of Ownership)の把握および削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減などの効果が期待でき、すでに欧米諸国を中心に市場が拡大しているという。
国内MPS市場のベンダー別売上額シェアは、富士ゼロックス53.8%、リコー23.2%、キヤノン12.9%、日本HP(HP Inc.)3.1%、その他のベンダー7.0%だった。昨年に続いて富士ゼロックスがシェア1位となり、上位ベンダーのシェアに大きな変化はなかった。ただし、富士ゼロックス、リコーがわずかにシェアを落とす中、キヤノン、東芝テックなどがシェアを伸長。幅広い業務ソリューションを提供し始めていることがシェア拡大に貢献したと考えられている。
このように一部のベンダーに、MPSで培った顧客との強固な関係をベースに、自社の持つ多様なソリューションを提供する動きが見られた。MPSの普及が遅れていると言われていた国内市場において、こうした新たな動きが出てきたことは注目できるという。今後、国内市場においてクラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術など第3のプラットフォームの普及を前提としたビジネスモデルの転換(DX:デジタルトランスフォーメーション)があらゆる産業分野で起こると予測されており、MPSベンダーにはDX対応のスピードアップ支援が期待されるとしている。

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