ビッグサイト展示会場問題は解決していない
展示会に関わる企業は"期待権"を主張すべき
5月30日、展示会産業における日本最大の業界団体である日本展示会協会(日展協)の総会が、東京ビッグサイトで行われた。その総会審議の中で多くの発言があったのが2020年のオリンピックの展示会場問題についてだった。
オリンピックに関する展示会場問題とは、2019年から2020年の20ヶ月間にわたり、東京ビッグサイトがオリンピックのメディアセンターとして使われることで、数多くの展示会が縮小あるいは中止になる恐れがあるといわれている。この影響として、中小のメーカーは1兆円、支援企業(装飾業やホテルなど)は1,000億円の売上を失い、倒産する企業が出る恐れもある、とみられている。
総会の中での発言をみると、「年間50%程度の売上減となり、倒産の危機に晒される。同業者も少なくとも40社ほど倒産すると予想している」。あるいは、長い年月、ビッグサイトで展示会を開催してきた主催者や出展社には『期待権』という権利があるという意見もあり、「もっと権利を主張しなければならない」との発言もあった。
東京ビッグサイトで開催される展示会には、全国あるいは世界から多くのバイヤーや顧客が来場する。宣伝活動費や販促ルートを持たない中小企業にとって、展示会の中止や縮小しての開催は死活問題にも関わる。日展協が行ったアンケートでも、この問題は解決済みだと答えた企業は、オリンピック特需でフォローできる、あるいは別会場の開催が決まり問題がない、といったわずかな企業だけだ。
日本の企業の大半は中小企業である。オリンピックが成功しても、その後、多くの企業が倒産したのでは本当の成功とはいえない。むしろ、オリンピック効果をうまく利用して、海外からの来場者の増加や注目度をアップさせ、従来の展示会をさらに盛り上げる…そんな解決策が必要ではないか。