紙の地図が最盛期の20分の1に
デジタルマップに押され、ニーズ縮小
国土地理院が製作した紙の地図の販売数が、記録が残る1946年度以降で最低となった。2016年度の販売枚数は約47万枚。最高を記録した1981年の約910万枚と比べて20分の1にまで減少した。
国土地理院の地図は主に5万分の1、2万5千分の1などで、書店で購入することができる。一方、GPSの一般化と、カーナビゲーションシステムやグーグルマップ等の地図アプリの普及によりここ数年、販売数が低迷している。
紙の地図の利点は電源がいらないこと。このため登山者を中心に、地図のニーズは根強い。2016年度、2万5千分の1地図の販売トップは穂高岳の1,921枚。続いて武蔵御岳、観光地の京都東北部となっている。また、教育の現場でも紙の地図がまだまだ使われている。災害時の地図利用の面からも紙の地図の役割が大きい。
一方、デジタルの地図はアクセスの良さ、ルート表示等、利便性が高く急速に利用が広がっている。近年ではスマートフォンの普及で地図アプリが広く使われるようになった。
そうした中、国土地理院の地図を販売する日本地図センターは、このほど廃図となった地図の絵柄を利用した扇子を販売。即売り切れとなった。
地図は新刊が発行されると旧版が販売できなくなる。このため、印刷の試刷りやメモなどに再利用されてきたが、地図に使用されている紙は強度が高く、破れにくい特徴を持つ。このため、日本地図センターでは「地図扇子」を作成。今回、「穂高岳」(多色刷。以下3色刷)「増毛」「乗鞍岳」「松江」「高松北部」「与那国島」の計6種類を販売した。紙の地図は販売が低迷しているが、グッズは好調だ。
しかし、機能的な役割を発揮できる領域が狭まる紙の地図。辞書や百科事典に続き、その存続が危ぶまれている。