日印産連が値上げ反対を正式表明

背景に4カ月連続需要減

日本印刷産業連合会と印刷関連団体10団体は6月5日、製紙各社が4月1日出荷分からの印刷・情報用紙の値上げを発表したことを受け、日本製紙連合会を訪問し、用紙値上げが印刷需要の縮小につながりかねず、結果としてさらなる用紙需要の減少を招きかねないとして反対声明文を手渡した。
反対声明文の要旨は「製紙各社は印刷用紙について15円以上、情報用紙について10%以上の値上げを発表された。用紙は印刷における原価の中で最も大きな割合を占めており、需要が減少している中での用紙価格の引き上げは、さらなる需要の減少に影響を与えることは必須。印刷出荷額は、1991年をピークに下がり続けており、その減少に歯止めがかからず、用紙の動向も2006年をピークに縮小が続いており、2016年もマイナス幅は縮小したものの、10年連続の減少とされている。背景には出版市場の減速、印刷媒体から電子媒体への急速な移行、ペーパーレス化等があり、この分野の印刷媒体の市場規模の減少化は極めて深刻な実態にある。印刷各社は顧客から求められる印刷媒体を、より高品質で低コストに提供するとともに環境への配慮や情報セキュリティへの取り組みを進めることにより、社会の期待に応えてきた。今回の製紙各社における印刷用紙・情報用紙の値上げ要請は、印刷各社の努力を無にすると同時に、用紙の値上りが得意先の紙離れ・電子媒体への移行に拍車をかける要因の一つとなり、印刷・情報用紙の内需及び印刷需要の減少に繋がる。これ以上の加速的な市場縮小による紙の使用量の減少は、製紙業界にとっても、印刷産業界にとっても価格改定で挽回出来ない程のダメージになりかねない。
実質的な用紙値上げは交渉が始まったばかりで、印刷ユーザー団体の反対表明により、用紙の値上げは厳しい状況になってきた。

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