残業がある企業は9割

中小企業における残業カットは受注・賃金への影響大

東京商工リサーチでは、全国の企業を対象に「長時間労働」に関するアンケートを実施した。それによると、9割の企業で残業が存在し、8割の企業で残業削減に取り組んでいる。特に中小企業等では受注や賃金の減少への影響が大きく、「長時間労働」削減に向けたハードルが高いことも浮上した。
残業の有無について、「恒常的にある」が7,095社で57.3%、「時々ある」が4,504社で36.4%、「ない」と「させない」という企業も764社で6.1%である。このことから、「残業がある」企業は全体の93.8%にのぼり、規模を問わずほとんどの企業で残業が行われていることになる。
企業規模別では、大企業(2,898社)の場合、「恒常的にある」が2,021社(69.7%)、「時々ある」が825社(28.4%)、「残業がある」は2,846社(98.2%)。中小企業等(9,465社)は、「恒常的にある」が5,074社(53.6%)、「時々ある」が3,679社(38.8%)で、「残業がある」は8,753社(92.4%)で、中小企業等の方が残業のある比率は5.8ポイント低いという結果になった。
残業の理由について最も多かったのが「取引先への納期や発注量に対応するため」の37.6%で、約4割を占めた。次いで「仕事量に対して人手が不足している」24.7%、「仕事量に対して時間が不足している」21.1%などが続く。
規模別では、大企業は「仕事量に対して人手が不足している」30.0 %、「取引先への納期や発注量に対応するため」28.8%、「仕事量に対して時間が不足している」24.7%の3項目が上位に並んだ。中小企業等の最多は「取引先への納期や発注量に対応するため」の40.6%だった。中小企業等は、取引先との関係による理由が大企業を11.8ポイント上回っており、納期を守り、受注先との取引関係を維持するために残業が増える構造的な課題が浮かび上がっている。

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