3年以内離職率、大卒依然高く

紙関連、印刷・同関連は27.3%

厚生労働省の新規学卒者の離職状況によると、大卒3年以内の離職率は平成25年3月卒で31.9 %だった。平成16年3月の36.6%から比べて減少しているが、実数では平成16年の13万3,322人に対し、平成25年が13万1,763人とあまり変わっていない。高校卒、中学卒がそれぞれ離職率、実数で減少傾向にあるものの、短大卒、大卒の離職率は改善されていない。
日本の生産年齢人口(15~64歳)は2010年の約8,000万人から2030年に6,700万人にまで減少する。高い離職率と生産年齢人口の減少は、将来的に雇用確保にとって大きな問題である。すでに人手不足が指摘される中、離職率を抑えることは重要な経営課題の一つである。
新規大卒者の製造業における産業分類別卒業3年後の離職率(平成25年)で、「パルプ、紙・紙加工品製造、印刷・同関連業」は27.3%。食品製造(30.3%)、繊維工業(36.3%)、木材・木製品、家具・装備品製造業30.5%)等に比べて低い水準だが、8業種中下から4番目。高卒新卒者を比べても下から5番目と離職率は高い。
日本印刷産業連合会が掲げている「グランドデザイン」では一般社会へのコミュニケーションを強化し、印刷産業への理解・共感と、信頼感の醸成を一つの柱としている。社会での存在感を示すのはビジネス基盤の強化だけでなく、優秀な人員の確保も根底に流れている。『紙積み3年』と言われている印刷業。若者の紙積み修行を終えた矢先に離職では何のための下積みかわからない。
印刷業の離職率を抑えるためには待遇のみならず、若者が誇りとやりがいを持って仕事ができる環境づくりが重要。人材育成は設備投資に比べ、リスクが高いという経営者もいるが、社員が立派に育てばリターンは大きい。雇用コストの増加が見込まれる今後、まず手を付けたい課題だろう。

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