働き方の多様化が少子化対策に

ワークライフバランスの重要性を指摘

内閣府は「平成28年版 少子化社会対策白書」を発表した。少子化は国力に直結する問題。様々な対策が取られてきたが、十分な成果が上がっているとはいえない。2014年の日本の出生率は1.42。それまで微増してきた数値は減少に転じた。つまり、日本の少子化は構造的問題であり、対処療法的な対応では克服困難といえる。
先進国(アメリカ、フランス、スウェーデン、イギリス、イタリア、ドイツ)の合計特殊出生率は、1960年代まで全ての国で2.0以上の水準であった。これが1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向をたどる。白書では子供の養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及等があったと指摘。一方、フランスやスウェーデンでは出生率が1.5~1.6台まで低下した後、回復傾向となり、2014年にフランスが1.98、スウェーデンが1.88となった。両国の家族政策が経済的支援から保育の充実へシフト、出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備があったと述べている。
日本でも「ライフワークバランス」の重要性が指摘されている。働き方の多様化という意味では経済界の取り組みが少子化対策に重要な役割を果たすと見られる。
白書は「ライフワークバランス」の項目で「育児・介護期は特に仕事と家庭の両立が困難であることから、労働者の継続就業を図るため、仕事と家庭の両立支援策を重点的に推進する必要がある」と強調。2014年、女性の育児休業取得率は86.6%だが、第1子出産後の女性の継続就業割合を見ると、子供の出生年が2005年から2009年の女性の継続就業率は38.0%。男性の育児休暇については取得率が2.30%にとどまっている。印刷産業における女性活躍、ワークライフバランスに向けた対策は少子化対策に寄与できる取り組みである。

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