法改正でリスクアセスメント実施義務へ

全事業所が対象、中小企業向け「アセスメントシート」も配信

労働安全衛生法が改正されたことに伴い、今年6月1日から、労働安全衛生法施行令に掲げられている640の化学物質についてのリスクアセスメントの実施が義務となった。「リスクアセスメント」とは、『一定の危険性・有害性が確認されている化学物質による危険性又は有害性等の調査』のこと。なお法改正に伴い、ラベル表示義務についても、640物質にまで拡大した。
実施時期については、①対象物を原材料などに新規に採用、あるいは変更した時、②対象物を製造したり、取り扱う業務の作業方法や作業手順を新規に採用・変更する時、③その他に、対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じる恐れがある時、とされている。既存の規定内の作業を踏襲する場合は、該当しない。罰則は設けていないが、守られていない場合は違法とみなされ行政指導が入る。
今回のリスクアセスメントの義務化への動きは、平成24年に浮上した校正印刷の胆管癌発症事故が一つの契機になっている。最近の優良企業の基本方針の一つとして、「安全・健康」が含まれる。会社での怪我などの「労働安全」は個人差も少なく、目立つため対策もとりやすいが、病気などの原因となる「労働衛生」は、潜伏期間が長く個人差もあるなど目に見えにくく、対策が取りにくいため、対策が遅れがちになる。こうしたことからも、安心して働ける環境づくりを行うために、リスクアセスメントが必要だとされている。
なお、化学物質を扱っている中小印刷会社が簡便にリスクアセスメントを実施できるように「アセスメントシート」が制作されている。同シートは、各社が該当箇所にチェックを入れるだけの簡単調査で現状を把握できるもので、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で掲載している。

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