販促・業務支援で収益確保
出版印刷の減少続く
大手印刷会社3社の平成28年度3月期の決算短信が発表された。大日本印刷は減収・減益。凸版印刷は減収・増益。共同印刷は増収・増益となった。日本経済全体的には、不採算事業の整理や新たな市場開拓により、リーマンショック前の水準に戻りつつあると言われている。印刷業界は一部でインバウンドやマイナンバー制度による特需が発生したものの、既存ビジネスのみでこれまで通りの収益を確保することが困難になっている。
DNPの出版印刷関連は、出版市場の低迷が続く中、積極的な営業活動によって書籍が前年を上回ったものの、雑誌減少の影響で前年を下回った。凸版印刷も雑誌、書籍が減少する一方で、紙と電子のハイブリッド出版に対応した書籍制作支援クラウドサービスや出版コンテンツビジネスなどにより、デジタル化を含めた多メディア展開を強化した。共同印刷の出版印刷は、マンガをはじめとするコンテンツのデジタル化サービスの拡大に努めたが、書籍、定期刊行物がともに減少したため、売上高が前期を下回った。
一般商業印刷では、印刷周辺に関わる新たなサービスメニューを拡充し、得意先の課題解決に向けたトータルソリューションの提案によって受注拡大を図った結果、カタログやチラシなどが減少したものの、情報誌や販促用DM、POPなどが増加したため、売上高は前期を上回った。
印刷の事業領域は出版系が引き続き減少したが、ICカードやマイナンバー収集といったBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)が堅調に推移。販促関連ではチラシ、パンフレットなどの減少に対し、セールスプロモーションが増加した。増加していた生活産業系のパッケージも大日本印刷、共同印刷で減少、トッパングループは売上高が減少した。