都・印刷物発注で最低制限価格

新年度から財務局で試行

東京都は3月7日、都議会予算特別委員会で、印刷物の最低制限価格制度導入について、財務局の印刷物で試行する考えを示した。
特別委員会議事録によると、答弁で長谷川財務局長は、自民党の田中たけし都議からの印刷請負を対象とした総合評価方式の今後の拡大に向けた考えを問われ、総合評価方式の実施で履行能力の高い業者の先手に繋がり、作業工程が効率化され、柔軟な対応が可能になったと報告。試行の成果を踏まえて応用方法などを実務担当者向けの手引きにまとめ、印刷請負の品質確保に向け、総合評価方式の施行拡大を図ると述べた。
また、障がい者優先調達について、28年度から予定価格10万円以下の印刷請負で障がい者優先調達に努めることを全庁的な方針として定めるという。
最後に最低制限価格制度に対する見解を尋ねられ、低価格入札を防止し、品質確保や、地場産業である印刷業の担い手の中長期的育成、確保を図るため、総合評価方式の拡大に加えて、最低制限価格制度の導入も有効な手段と指摘。印刷請負で限定的に導入してきた最低制限価格制度について、より実効性のある制度への見直しを進め、財務局の印刷物で試行すると述べた。
都内印刷業界団体はこれまで東京都印刷産業政治連盟などを通じて、東京都の印刷物発注に関して、最低制限価格制度の導入を訴えてきた。今回の発言は、その要望実現に大きく近づいたことになる。
官公需は東京都に限らず、全国的に価格競争や県外事業者の入札などが問題として浮上している。健全で公正な市場環境を整備する上でも行政側からの変革が必須となっている。ここ数年、県内事業者のみに入札の権利が与えられる動きは活発化しているが、未だ一部の印刷物に限定されるなど、道なかばにある。

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