優秀な海外IT人材を獲得せよ

「日本再興戦略」における一つの課題

現在、日本政府では「『日本再興戦略』改訂2015」のもと、さらなる経済成長への取り組みが望まれている。すでに"アベノミクス"は「第二ステージ」に入り、設備や技術、人材等に対する「未来投資による生産性革命の実現」、活力ある日本経済を取り戻す「ローカル・アベノミクスの推進」の2つを両輪とし、日本を成長軌道に乗せ、世界をリードしていく国にしていくことを目指している。
今後の人材活用についても様々な角度から検討されているが、その中の一つが、海外IT人材の活用である。経済産業省情報処理振興課の資料によると、経済の活性化と競争力を高めていくためにも、優秀な人材を呼び込み、定着させることが重要で、そのための環境整備が求められているとしている。なお平成26年10月時点で、すでに情報通信業に就労している外国人は3万1,581人おり、増加傾向にある。日本の企業でも、優秀な外国人材の受け入れを進めるところが出てきており、留学生の在留資格をみると、「人文知識・国際業務」68.4%、「技術」の20.8%で全体の約9割に上る。職能別では、「翻訳・通訳」が23.8%、次いで「販売・営業」が23.6%で、「情報処理」8.1%となっている。
海外には、日本市場を意識したエンジニアの育成を実施する動きも出てきている。例えば、ベトナムのITサービス最大手企業FPTソフトウエアは、日本の基本技術者試験相当のITPEC試験合格と、日本語の履修を進級条件にするなど、日本のIT市場を意識した人材育成を行っている。その他にも、大学でITを専攻して日本企業への就職を目指す人などもいる。しかし、コミュニケーション問題、日本とのパイプ役が見つからない、入管審査の問題など課題が残っているのも事実で、いかに環境を整備できるかが優秀な労働力獲得に影響してくる。

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