「仕事と介護の両立支援」の制度を拡充

少子高齢化に備える社内体制

安倍晋三首相は一億総活躍社会の実現をめざし、「新アベノミクス」と言われる3つの方針を掲げた。この中で社会保障の一環に挙がったのが「介護離職ゼロ」だ。
厚生労働省発表の「平成27年度厚生労働白書」によると、2060年の国内総人口は8,674万人に減少し、そのうち約40%が65歳以上となる見込みであり、少子高齢化が深刻化している。労働人口の減少だけでなく、高齢化は企業の中堅を担う、40代、50代社員の介護離職という問題を顕在化させている。
こうした動きを受け、凸版印刷は10月から、「仕事と介護の両立支援」の制度を大幅に拡充した。介護関連制度の適用要件の拡充、取得期間の延長などの施策によって従業員が安心して仕事に取り組める環境を構築し、企業活力の向上につなげていく狙い。
介護の問題は、突発的に発生し、長期化する可能性が高く、さらに個々の事情があることから、働き盛りの従業員の多くが不安を抱えている。実際に家族を介護する場合には、多くの負担が発生し、介護を理由に離職を選択することも少なくない。
同社では、これまでも「仕事と介護の両立支援」に取り組んできたが、今年1月に介護実態の従業員アンケートを実施し、従業員の介護実態や関連施策へのニーズ等を把握。3月にはこの課題に関する労使特別委員会の立ち上げを決定、同委員会での協議と検討を重ね、「仕事と介護の両立支援」の制度を大幅に拡充した。
こうした社内整備は、大手企業だけの問題ではない。むしろ交代要員がいない分、中小企業にとって大きな課題となる。長年、会社に貢献し、顧客との深いつながりを持つ社員がある日突然、離職する。そのダメージは大きい。中小企業ほど、今から仕事と介護を両立させた環境整備が望まれる。

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