POD取次サービス本格化

全コンテンツのホルダー利用可能に

インプレスグループで電子出版事業を手がけるインプレスR&Dは、出版社を含むすべてのコンテンツ保有企業を対象にプリント・オンデマンドを利用した新しい出版流通サービスを提供することを発表した。今回発表したPOD出版流通網は、従来型の書籍取次による出版や、電子書籍書店による電子メディア販売に次ぐ、第三の出版方式として位置付けている。
POD出版は、一冊単位で印刷・製造できる特性を活かし、顧客の注文後に一冊ずつ書籍を製造する出版方式。基本的にPODを設置した書店自ら印刷して販売するため、販売価格の決定権を書店側が保有する。形式は印刷書籍となるが、従来型の出版で適用される定価販売の対象外となるため、電子出版と同様にセールによる値引きが可能になる。
また、出版社にとっては大量の在庫を抱えることなく、印刷書籍を販売できるのが特徴。POD出版を手がける書店にとっても同様に、事前に仕入れることなく、注文に応じて印刷・製造するため売り逃しがなくなる。
POD出版は、アマゾンをはじめ、オンライン書店、三省堂書店といったPOD設置書店がサービスを提供している。コンテンツを保有する出版社は、各書店と個別契約し、POD出版を行うのが一般的だが、同社はPOD出版の「取次」をサービスメニュー化することで、POD出版の流通を支援している。
今回、この取次対象を出版社だけでなく、出版可能なコンテンツを保有するすべての法人に拡大することで、POD出版の利用機会の幅を広げた。また、独自の「疑似POD(必要最小限の書籍を事前に仕入れ、売れた分だけ補充する)モデル」を用いることで、楽天ブックスのようにPODを設置していない書店でもPOD出版ができるようになる。

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