ICT活用の教育関連事業活発化

新たな学習支援のビジネスモデル構築へ

教育現場におけるICT活用は紙の教科書の電子化をはじめ、印刷会社にとっても大きな影響を及ぼす。5月12日、文部科学省が設置した『「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会』の第一回会合が開かれ、現行の教育制度の確認と、「デジタル教科書」に関する課題抽出が行われた。
大日本印刷(DNP)、凸版印刷(凸版)の大手2社は、このような行政の動きにいち早く対応。DNPは、5月19日、教育関連事業への本格参入として、ICTを活用した学習教材などを開発し、新たな学習スタイルの確立を目指すことを発表した。
一方、凸版は小学校向けの新しい学習支援システムの実証研究に着手研究結果を踏まえ、同社は11月から「人財」育成を支援する学習支援サービス「やるKey」として、サービスの提供を開始するという。
教育関連の業界でも変化が起きている。通信教育大手のZ会はジタル・ナレッジと、学校・教育委員会を対象に、ICTを活用した高度で高品質な教育サービスを総合的に提供する合弁会社「Z会ラーニング・テクノロジ」を設立。また、学習塾などを運営する栄光ホールディングスを買収し、通信と対面学習のノウハウを一体化した新しい学習指導の場の構築に乗り出している。
学習において紙メディアの優位性については、『「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会』でも指摘されており、紙とデジタルの併用が検討されることになるが、いずれにしても印刷物の減少は避けられない。
変化する教育・学習環境の中で、印刷業界は、情報コンテンツを担う情報サービス産業としての新たな役割の構築が求められている。

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