冊子と電子のセット販売「新刊ハイブリッドモデル」

人文社会系出版6社が学術・研究機関向けでスタート

9月12日付けで、人文社会系主要出版社6社と、丸善、京セラ丸善システムインテグレーションは、学術・研究機関(図書館)を対象とした学術書の新刊を、冊子と電子書籍のセットにして販売するサービス「新刊ハイブリッドモデル」を開始することを発表した。人文社会系主要出版社6社とは、慶応義塾大学出版会、勁草書房、東京大学出版会、みすず書房、有斐閣、吉川弘文館。
同出版社6社の新刊書を対象に行われるこのサービスは、電子書籍単体でも購入可能。じっくり学習する場合は冊子を、検索など効率的に利用したい場合は電子書籍をと、活用方法にあわせて読書スタイルを選択できる。
学術書の電子書籍化は、2012年頃から徐々に増加しているものの、大半が既刊書だということもあり、最近では新刊を電子書籍で求める声も大きくなってきたことが新サービスの背景にある。今回の出版社6社による新刊の電子書籍販売により、学術書の電子コンテンツ拡充と、24時間いつでも利用できる学習環境の提供が実現する。
実際の電子書籍利用率について、電子書籍ストア「BookLive」は意識調査をしている。それによると、地域別の1カ月の電子書籍の購入金額は、第1位の茨城県で1,129円、2位の群馬県で1,127円。利用率も、第1の群馬と東京は42.2%で、いずれかのストアを利用している人も39.9%だった。月平均の読書量は、紙・電子問わず2.21冊という状況からも、電子書籍の利用率の高まりがうかがえる。
今回発表された新刊ハイブリッドモデルのサービスについては、新刊の電子書籍を毎月提供することで学術機関の教育・研究活動に貢献するだけでなく、学術出版業界における電子化を推進するとしている。利用度の高さが期待できる学術出版系の電子書籍化がさらに進むことが予測できる。

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