中小企業の設備投資を後押し

一括償却、税制控除

政府の来年度税制改正が決定し、中小企業投資促進税制が拡充される。中小企業・小規模事業者の設備投資を強力に後押しするため、生産性向上に資する設備を導入した場合の小規模事業者(個人事業主、資本金3,000万円以下法人)に対する税額控除割合の上乗せや、税額控除の利用可能な法人の範囲の拡大等の拡充措置を講じたもので、現行措置を含め、適用期間が3年間延長される。
ポイントは旧モデルと比べて、年平均1%以上生産性を向上させるなど一定の要件に該当する、①すべての機械装置(ソフトウェア組込型装置は最新モデル・一代前モデル、それ以外の装置は最新モデル)、②サーバー、試験・測定機器(最新モデルのみ)、③稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウェア(最新モデルのみ。生産性向上要件なし)が対象となる。また、現行措置の対象設備(貨物自動車、内航船舶以外)のうち、生産ラインやオペレーションの改善に資する設備も対象となる。これら設備について、取得価額までの全額を一括償却するか、税額控除のいずれかを選択できる。
取得価額は「機械装置」が160万円以上、「器具備品」が120万円以上、「建物付属設備」が120万円以上、「ソフトウェア」が70万円以上となる。機械装置は印刷機や製本機等、器具備品がサーバー等、建物付属設備は電気設備や冷暖房装置等、ソフトウェアはMIS等があたる。
来年度、アベノミクスの第3の矢である民間投資を喚起する成長戦略が放たれることになる。設備過剰といわれる印刷産業だが、利益率向上に向けた生産体制の見直しは製造業としての永遠の課題。生産戦略を抜本的に見直しする機会にもなりそうだ。一方、供給過剰を改善するためにも、設備投資だけでなく、印刷需要の喚起が必要なことは言うまでもない。

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