和歌山県民手帳を受託

企画・制作・販売までを一手に

和歌山県印刷工業組合は昨年、和歌山県から「和歌山県民手帳」の制作・販売を受託した。
「和歌山県民手帳」は和歌山県の人口や全国からみた和歌山などの統計情報をはじめ、各市町村情報や県内公共機関の連絡先を掲載した手帳。生活で困った際の相談窓口、病気や災害の際の緊急連絡先、地震や風水害に備えるための心得などの情報も載せている。県の行事や祭りのイベントカレンダーも手帳を見ればすぐに判る。
同手帳は和歌山県が発注し、落札業者が納品する印刷業務契約だったが、2012年版では和歌山県印刷工業組合が企画・制作・販売を受託。和歌山県は監修のみで発行した。部数、価格も組合で設定するため、販売に関してのリスクも負う。
全日本印刷工業組合連合会の機関誌「日本の印刷」によると、同工組の白子哲也理事長は「市場調査から販路開拓まで未経験なことだらけの事業でしたが、いままで我々が当たり前に思ってきた顧客の要望に沿って受注し、納品して代価をいただく、という受注産業意識を改革するよいきっかけとなる事業となったと思います」と述べている。
同事業には工業組合の組合員企業が献身的に協力。730円で販売し、これまで書店での取り扱いはなかったが、和歌山市内の書店やTSUTAYA WAY、東京の渋谷ロフトなどで販売。好評だった。
現在、地方自治体は新たな行政ニーズや事件・事故等への対応で事務量が増加傾向にある。一方、一般職員は年々減少している。同工組の取り組みはそうした自治体の課題解決に向けた一つのソリューションといえる。民間ができることは民間で。白子理事長も「仲間たちと共に色々な場面で共同事業体・共同受注体の構築を目指していきたく思っています」と述べている。

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