中堅・中小企業のM&A

後継者問題、事業拡大で活発化

ここ数年、日本国内でも中堅、中小企業のM&A(企業の合併買収)が盛んになり始めている。その要因として後継者問題と先行きへの不安感が挙げられる。
帝国データバンクが2011年12月末に発表した「後継者不在企業の実態調査」によると、約40万8千社のうち後継者不在企業は26万9社と全体の65.9%に及ぶことが分かった。2012年以降団塊の世代が65歳となり、引退を前に問題が顕在化してきている。また、会社を清算しようとしても借金が残ってしまうため、なかなか踏み切れない経営者が多い。加えて、一部で景気回復の兆しがあるものの、その実感が得られない製造業などで先行きへの不安が広がっている。
日本M&Aセンターは、このような状況を背景に、企業の売り手と閉塞感を打破したいという買い手企業が急増しているという。
M&Aに対しては、「買収」という言葉から「会社を乗っ取られる」「技術、顧客だけ持っていかれる」といった印象が強いためか、抵抗感を感じる社長も多い。しかし、印刷業界内でも同業者間のM&Aが活発化している。
印刷業界のM&Aの多くは、売り手側の後継者不在や会社整理の意向と、買い手側の事業拡大、サービス・商圏の拡張といったニーズがマッチし、譲渡企業側の社員の継続雇用なども条件に取り入れた友好的なM&Aが行われている。
最近では海外進出の足掛かりとしてM&Aを行う中堅・中小企業も出始めているという。好景気の際に、海外進出したが、うまく動かず、持て余している日本の現地法人がある。これから海外進出を目指す企業と現地法人を結ぶことで両社にとってメリットの高いM&Aが実現する。
このようにM&Aのハードルは非常に下がっており、中小企業の業態変革の一つの手段として注目されている。

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