中小企業の生存率は10年で3割減

新規事業への転換、差別化が鍵に

毎年、中小企業の事業実態を報告している「中小企業白書」が中小企業庁から発表されている。同白書には、経営状況や資金繰り、課題などそれぞれ紹介されているが、中小企業の生存率についての数字も過去の中小企業白書(2011年版)に見ることができる。
それによると、1980年から2009年に創立した企業の創設後経過年数毎の生存率の平均値を見ていくと、10年後には約3割、20年後には約5割の企業が倒産・撤退をし、あとは年を追うごとに生存率が減少してく(ただし、なぜか29年目に若干盛り返している)。それについては、「新規企業は絶えず市場に参入するが、創設後の淘汰もまた厳しいことがうかがわれる」と分析している。
なお最新の2013年の中小企業白書によると、リーマン・ショック後に大幅に増加した中小企業の倒産件数も、2009年後半から2010年前半にかけては大幅なマイナスで推移し、その後も引き続きマイナス傾向で推移するなど安定しつつあるようだ。倒産件数を年数でみていくと、2010年は1万3,246件(前年比-14.0%)、2011年と2012年は夫々1万2,687件(前年比-4.2%)と1万2,077件(前年比-4.8%)、2013年は3月時点で927件(前年同月比-19.9%)。
一時のベンチャーブームなどもあって多くの中小企業・ベンチャー企業が創立されたが、世界金融危機や震災、市場環境の変化などの様々な社会的要因が重なり、従来通りの手法では企業存続が厳しいことが明らかとなった。こうした経済環境の中では、他社との差別化や新規事業への取り組み等が課題解決の一つとされている。なお、新規事業への取り組みは、中小企業には難しいというイメージがあるが、中小企業白書によると小規模企業は経営資源を集中させて機動的に主力事業を転換することで成功させていると報告している。

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