デジタル教科書で教科書会社が連携

次世代プラットフォーム開発へ

大日本図書、三省堂、光村図書など教科書会社12社と、システム会社の日立ソリューションズはこのほど、国内初の次世代デジタル教科書の共通プラットフォーム開発に取り組むため、コンソーシアム「CoNETS(コネッツ)」を発足した。コネッツは、教科や教科書会社によって異なっていたデジタル教科書の操作性を統一し、様々な端末で使用できるマルチプラットフォームを開発することで、「デジタル教科書のスタンダード」を目指す。
デジタル教科書は、2005年に国内で初めて商品化され、2011年度時点で、小学校の29.4%、中学校の17.3%に、指導者用デジタル教科書が導入されている。その後も、デジタル教科書と電子黒板は普及の一途を辿り、2010年代に1人1台の情報端末配備など、全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で教育環境のIT化を実現しようという動きがあり、新しい学習スタイルが始まろうとしている。
一方でデジタル教科書は、映像や音声による学習意欲の向上や、教師と児童・生徒の学習情報の共有化、学習目標の焦点化など、紙の教科書にはないメリットが実証されるが、各社デジタル教科書の操作性の違いや、学習スタイルの多様化による教師や児童・生徒の戸惑いなど、様々な課題も表面化している。
そのような状況の中、教科書で日本の教育を支えてきた教科書会社12社と、電子黒板をはじめ教育分野向けの様々なITシステムを提供している日立ソリューションズは、デジタル教科書の標準仕様を作ることを目的に、コンソーシアムを設立。デジタル教科書の共通プラットフォームを開発する。
デジタル端末の普及により教科書のあり方が変わろうとしている。印刷業界にとっては脅威だが、その流れはとどまりそうにもない。

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